【読書『ピカソとの日々』】【フランソワーズ・ジロー】モラハラ男との付き合い方の正解

散文家ふぶきです。

お越し頂きありがとうございます。

ピカソの愛人フランソワーズ・ジローからみたピカソとの生活を、

敏腕記者カールトン・レイクが超濃密にまとめた本である。

 

(フランソワーズがメインの共著ってテイだけど、カールトンが綿密な取材と読者を惹きつける巧みな文章力で

書き上げたものだと思う。

『マティスとピカソ 芸術家の友情』というフランソワーズ著の本読んだのだけど、

文体が固く文章のユーモアがあまりない感じだったので、

『ピカソとの日々』はカールトンがメインで書いた説が高いと思います。

 

※因みに日本語の訳者はどちらも野中邦子さん。

※因みにフランソワーズは文章のユーモアはいまいちでしたが、実際の人とのコミュニケーションでのユーモアは

豊かに持ち合わせる方だと思います。

しつこいようですが、文章の中でのユーモアの使い方が乏しかった。。)

 

フランソワーズ・ジローの天才的な記憶力より、ピカソと共に過ごした時系列、会話内容などほぼ正確に知れる

かなりスキャンダラスな内容となっており、

超有名人の生々しいあれこれを垣間見ることができ、当時のゴシップ好きな人々にはヨダレもんの暴露本です。

ピカソがどんな哲学的な考えするかとか、

絵に関することとかあんま興味無くて、

ピカソをめぐる「女達」の会話や行動とかに凄い興味があったからこの本を図書館で借りた。

(絵を描く人やピカソについて知りたい人にも色々参考になる本だと思います。)

 

フランソワーズ・ジローは「知性の人」と呼ばれるが、私には「理性の人」だなと感じた。

 

子供の頃から世間を見る視点が他と違っていて、

どんな時も第三者から自分自身を見つめるという習慣がある人。

 

ぶっちゃけ彼女の性格というか本質はかなりサイコパスに近いかな〜。

自身を「若い娘の姿を借りた老練な哲学者」だと言うが、

本当に異常なほど記憶力(知識)と理性を併せ持つバケモノ(ある意味天才)です。

 

父親がものすごいスパルタだったことも彼女の人格を作る大きな要因でしょうね。

若く美しいルックスにこの複雑な内面を持つわけですから、大天才ピカソが興味を持たないわけない。

 

ピカソという人物は男というものの象徴であり、ピカソのミューズ達は女の象徴。

男と女の集大成がドタバタ劇を繰り広げる様子は、私にとって非常に興味深かった。

 

男女の役割と悲劇を色濃く見せつけられ、読みながらドキドキワクワクしっぱなし。

 

フランソワーズ・ジローは「ピカソから逃げた唯一の女性」だと言われているが、

この男女のジレンマから飛び立つことができたのはひとえに、彼女の精神的な自立があったから。

 

「人はだれしも孤独であり、相互依存のなかで生きていることがはっきりと感じられた」という

教訓を得ることができた為、

フランソワーズは再び自分の人生の舵取りをすることができたのだ。

 

 

ピカソと生活して子供ができたフランソワーズの失点は、

「ピカソからの愛を受けたい」と思ってしまったこと。

 

サイコパス気質の彼女にとって人から愛されるとか、他者からの評価とか気にしたことない人だったのだけど、

ピカソと生活を共にすることで芽生えてしまった「愛情の様なもの」が彼女を人生で初めて苦しめたのだ。

 

ピカソにとって女たちは芸術の材料でしかないわけで、

冷静沈着な美女が本音を吐き、泣き、本能で乱れる様を自己の芸術に投影したかった、それだけのことだったのだ。

 

(ピカソって天才的な才能を剥ぎ取ったら、ただの鬼モラハラ男だから。笑笑)

 

ピカソのミューズになるということは、世界の人々のミューズであるということなので、

 

その担ぎ上げられた虚像の舞台から自分の意思で飛び降りることができたフランソワーズはやっぱりすごい女だな〜。

 

捨てることができる女は強いということを学べた本でした。

 

 

羊たちの沈黙で有名なアンソニー・ホプキンス主演の『サバイビングピカソ』も参考に観てみました。

フランソワーズから見たピカソとの日々を描く、正に『ピカソとの日々』が元ネタだと思うのですが、

 

ピカソの悪魔的要素や、フランソワーズのマッチョな強さが感じられず、

「なんかうっすいな〜」という感想です。

物足りなさに1票!!

監督やら脚本家はフランソワーズの人格をきちんと観客に伝えるように作って欲しかった。

 

映画では「フランソワーズがピカソと別れたことで一皮剥け人間的に飛躍した」みたいな流れで仕上げていたけど、

 

いやいやいや、サイコパスフランソワーズのキャラはピカソと出会う前から何一つ変わってないんだってば!!

いくら相手がピカソだといえ、男1人にやすやすキャラ変させられる玉じゃないのよ彼女は!

 

(画家でもあるフランソワーズは芸術的には大きく影響を受けたと思いますが、人格的には1ミリも変えられてないと思うのですよ私は。)

 

自分の目的のためには手段を選ばず突っ走るイカした人間だということをもっと映画で観たかった。

 

若き日のジュリアン・ムーア

 

ただ、ドラ・マール役の女優ジュリアン・ムーアは良い仕事してましたね〜。

彼女の演技が1番しっくりきた。

 

フランソワーズ役の人(名前知らない)は人間的に未熟で弱すぎる印象。

フランソワーズ本人のルックスあんまり似てなくてもいいから、

超タフで燃えるような女優をセレクトして欲しかった。

 

乗馬の名手であるフランソワーズなのに、馬の乗り方が壊滅的に下手過ぎて、観てる方が恥ずかしい位でしたよ。

 

ではまた。

 

ふぶき

 

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